相続人の中に行方不明者がいる場合の相続登記

質問

父が亡くなり、母と妹、そして私の間で遺産分割協議を行って父が遺した不動産を母の名義にするということに決めました。ちなみに私たち姉妹には兄がいます。その兄は私たち姉妹と同様に父と母の子ですが、10年以上も前から連絡がとれていません。どこに住んでいるのかも分かりません。この遺産分割協議書を添付して所有権移転登記(相続登記)を申請することはできますか?

回答

遺産分割協議は相続人全員で行わなければ無効となります。行方不明のお兄様もお父様の相続人であり、他の3人のみで行った内容の遺産分割協議書を添付しても所有権移転登記(相続登記)は申請することはできません。

解決策

共同相続人の1人が行方不明(不在者)の場合は、家庭裁判所に不在者の財産管理人の選任を申し立てて(民法第25条第1項)、その不在者の財産管理人が裁判所から遺産分割協議の許可(民法第28条)を得て、不在者の代わりに当該遺産分割協議に参加することで、協議を成立させることができます。

根拠先例(昭和39年8月7日民三第597号回答)

不在者の財産管理人は、家庭裁判所の許可を得て、不在者のための遺産分割の協議に加わることができる。

補足

不在者の生死が7年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができ(民法第30条第1項、普通失踪)、失踪してから7年の期間満了時に死亡したものとみなされます(民法第30条第2項)。死亡したものとみなされた行方不明者に相続人がいる場合は、上記の事例においては、遺産分割協議の参加者が変わりますので注意が必要です。

当事務所の業務

不在者財産管理人の選任
遺言書と相続手続を業務の中心としている福岡県柳川市の司法書士事務所です。遺産分割をする際に相続人の中に行方不明者がいるなどの場合の、家庭裁判所に提出する不在者財産管理人選任の申立書の作成も業務として行っております。どうぞお気軽にお問い合わせください。
相続登記(相続による不動産の名義変更)
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