「甲不動産をA、Bに2分の1ずつ相続させる」と書かれた遺言書がある場合に遺産分割協議をしてB単有の相続登記ができますか?

質問

夫が突然亡くなりました。相続人は私と長男のAと長女のBです。公正証書遺言があり、「甲不動産を長男Aが2分の1、長女Bが2分の1の割合で相続させる。」と書いてありました。しかし、Aは遠方で事業をしており故郷に戻る予定はなく、甲不動産は要らないと言っています。甲不動産についてAとBとの間で遺産分割協議を行い、Bが単独で取得する旨の協議書も添付してBへの相続登記を申請することはできるのでしょうか?

回答

遺言書の「甲不動産を長男A、長女Bにそれぞれ2分の1の割合で相続させる。」という記載は、特定財産承継遺言(遺産に属する特定の財産を共同相続人の1人又は数人に承継させる旨の遺言)といって遺言による遺産分割方法の指定であり、相続の発生により即時にA及びBにそれぞれ2分の1の割合で所有権移転の効力が生じている(甲不動産については遺産分割は終わっている)ことになります。したがって、遺言書とともに当該不動産をBが単独で取得する旨の遺産分割協議書を添付して、Bへの相続登記を申請することはできません。

根拠実例(登記研究546号152頁)

特定の不動産を「長男A及び二男Bに各2分の1の持分により相続させる。」旨の遺言書とともに、A持分3分の1、B持分3分の2とするA及びB作成に係る遺産分割協議書を添付して、A持分3分の1、B持分3分の2とする相続登記の申請はすることができない。

解決策

本件において、Bが甲不動産を単独で取得したい場合は、遺言どおりにA及びBへの相続登記を行い、兄妹間で不動産の共有持分の贈与等の契約を締結し、当該贈与等を原因とする共有者Aから共有者Bへの持分全部移転登記を申請する必要があります。

補足

遺言で相続分の指定がなされていたり、複数人に割合的に包括遺贈されている場合は、遺産分割を行い、その内容で相続登記をすることができます。遺産共有の状態にしておくよりも、むしろ遺産分割をした方が良いケースです。

当事務所の業務

相続登記(相続による不動産の名義変更)
相続登記(不動産の名義変更・家の名義変更・土地の名義変更)は、久留米市の渡辺和也司法書士事務所にお任せください。