質問
行政書士のホームページなどの業務メニューに「相続業務」と書かかれている場合がありますが、相続登記を依頼したらやってもらえるのですか?
回答
行政書士と司法書士は別々の資格で、その独占業務が重なるところは例外的な一部を除きありません。
行政書士は、登記を受任して代理申請をすることは言うまでもなく、申請書の作成も行うことができません。いわゆる「提携司法書士」の有無にかかわらず自己の業務として登記を受任することはできません。業務名を「登記申請代行」、「登記サポート」、「登記支援」などとしていても同様です。
また、登記に関する相談に乗ることもできません。司法書士の登記業務は無償独占ですので、たとえ無料であっても行政書士によるこれらの行為は違法行為であり犯罪です。
解説
司法書士法(抜粋)
(業務)
第三条 司法書士は、この法律の定めるところにより、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。
一 登記又は供託に関する手続について代理すること。
二 (カッコ書き省略)法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記録を作成すること。ただし、同号に掲げる事務を除く。
三 法務局又は地方法務局の長に対する登記又は供託に関する審査請求の手続について代理すること。
四 (カッコ書き省略)裁判所若しくは検察庁に提出する書類又は筆界特定の手続において法務局若しくは地方法務局に提出し若しくは提供する書類若しくは電磁的記録を作成すること。
五 前各号の事務について相談に応ずること。
(以下省略)(非司法書士等の取締り)
第七十三条 司法書士会に入会している司法書士又は司法書士法人でない者(協会を除く。)は、第三条第一項第一号から第五号までに規定する業務を行つてはならない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
(以下省略)
この規定により司法書士(又は司法書士法人)及び弁護士(又は弁護士法人)以外の者(株式会社等の法人を含む。)は、商業・法人登記及び権利に関する不動産登記を行うことが禁止されています(無料でも不可。相談のみでも不可。)。税理士であっても同様です。
解決策
行政書士のほとんどは真面目な先生ばかりですが、中には登記の業務を受任してしまう(行政書士業務のついでに登記をやってあげてしまう)人もいるようです。その場合、依頼者自身は原則として違法とはならないものの、犯罪のきっかけをつくることになりかねませんし、過誤があった場合に行政書士業務の賠償責任保険の対象にもなりません。ですので、行政書士に登記を依頼することはもとより、登記に関する相談もしないようにご注意ください。
当事務所の業務・お問い合わせ
電話0944-85-0852