登記権利者(登記名義人になる人)の住所に県名を入れる?(事務連絡により解決)

不動産登記を申請する場合、申請情報に登記権利者(相続登記の場合は「相続人」)の住所氏名を入力すると、そのまま登記名義人の住所氏名として登記が実行されるのですが、この住所には県名を入れるのでしょうか(登記されるのでしょうか)?

私が当初開業した地は秋田県(秋田地方法務局)だったのですが、次のように配属研修等で習い、実務でもそのとおり行っていて何も問題はありませんでした。なお、不動産登記の先例は見当たりません。

  1. 原則は県名を記載
  2. 政令指定都市の場合は省略
  3. 県名と市名が同じ場合は省略
  4. 不動産の所在と住所の県が同じである場合は省略

ところが、福岡県久留米市(現在は柳川市)に事務所移転(秋田県司法書士会から福岡県司法書士会に所属会の登録変更)し、福岡法務局久留米支局に何度目かに申請した相続登記で、上記4.のケースに該当していたことから「福岡県」と記載をせずに申請したところ、次回の申請から

  • 個人の住所の場合は「福岡県」と記載してください。
  • 記載しないのは福岡市と北九州市のみです。

と指示を受けました。本件申請は補正にはならず、登記記録には「福岡県」と加筆され登記されていました(登記完了証では「福岡県」なし、登記識別情報通知・登記事項証明書には「福岡県」あり)。

それ以来、当事務所では、福岡以外の法務局に申請する場合も、上記2.3.のケースを除いて県名を記載することで統一しています。

2023年4月5日追記

令和5年3月6日付けで福岡法務局から福岡県司法書士会にオンライン登記申請における申請情報の提供等に関する協力依頼の事務連絡あり、その中の「住所関係」において、次のとおりとされました。

  1. 政令指定都市、県名と市名が同一の場合は県を入力しない。 例:○福岡市、×福岡県福岡市
  2. 上記以外の場合は都道府県を入力する。 例:福岡県柳川市○、柳川市×

こういった問題に当たる都度、全国の取扱いの違い一覧みないなものがあったらいいのにと思います。

ちなみに、

権利部(甲区) (所有権に関する事項)
順位番号 登記の目的 受付年月日・受付番号 権利者その他の事項
所有権移転 (省略) 原因 平成●年●月●日売買
共有者
柳川市A町B1番地
持分2分の1 甲野一郎
柳川市A町B1番地
2分の1 乙野法子

のように登記名義人の住所に県名の記載のない登記記録が実際にあり、甲野一郎が亡くなり、甲野一郎の持分を乙野法子が相続により取得することになったとします。このとき、登記情報に乙野法子の住所を「福岡県柳川市C町D2番地」と記載して登記すると、共有のまま(県名がある・なしの違いのある)住所が違う同姓同名の別人のように登記されてしまうとの情報を耳にしたことがあるのですが、私が申請した登記では、以下のように「所有者」として1人の登記名義人として登記されています(これも法務局によって取扱いが異なるのかもしれません。)。

権利部 (甲区) (所有権に関する事項)
順位番号 登記の目的 受付年月日・受付番号 権利者その他の事項
所有権移転 (省略) 原因 平成●年●月●日売買
共有者
柳川市A町B1番地の2
持分2分の1 甲野一郎
柳川市A町B1番地の2
2分の1 乙野法子
甲野一郎持分全部移転 (省略) 原因 令和●年●月●日相続
所有者
福岡県柳川市A町B1番地
持分2分の1 乙野法子

登記記録の見た目としてはあまりよくはないですね…

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