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空き家対策

空家特措法(空家等対策の推進に関する特別措置法)

空き家は全国で増加の一途であり、多くの自治体が空家条例を制定するなど、空き家対策が全国的に課題となっています。空家特措法は、適切な管理が行われていない空き家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしており、地域住民の生命・身体・財産の保護、生活環境の保全、空き家等の活用のための対応が必要となったことから成立した法律です。

空き家の発生原因

空き家の発生原因(住宅の取得経緯・空き家になった原因)として最も多いのが相続であると言われており、国土交通省の調査の結果等においても大きな割合を示しています。所有者不明土地問題と同様に相続登記が放置されることにより空き家問題が発生しているものと考えらます。

相続登記が放置される理由とその対処方法

  • 数代にわたり相続未登記で当事者が多数(→本来は登記名義人が亡くなったらすぐに相続登記をするべき→現在は申請義務化)
  • 遺産分割協議が難航 →調停・審判、訴訟 →相続登記
  • 相続人の判断能力の問題 →成年後見制度等の活用 →遺産分割 →相続登記
  • 相続人の一部が行方不明になっている →不在者財産管理人選任の申立て 遺産分割 →相続登記
  • 相続人の全員が相続放棄をした →相続財産清算人の選任申立て →売却等・国庫帰属

「空家等」とは

「空家等」とは、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)をいいます。

アパートやマンションなどの場合は、全室が空いていなければ空家特措法上の空家等とは判断されません。

「常態である」とは

長期にわたって使用されていない(居住者がおらず、人の出入りもない状態が長期間継続している。など)状態をいい、例えば概ね1年間を通して建築物等の使用実績がないことが1つの基準になるとされています。

  • 居住者がいればいわゆるゴミ屋敷であっても空家等にはなりません。
  • 年に一度空気の入れ換えに来ていたり、状況確認等のために一泊している場合でも空家等に該当すると考えられます。
  • 物置として常時使用している場合は空家等に該当しないと考えらます。

「特定空家等」とは

「特定空家等」とは、空家等のうち次の定義のいずれかに当てはまり、市区町村が所有者調査や立入調査を行った上で判断・認定したものをいいます。

(1)そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態(除却がありえる。)

  • 建築物が倒壊するおそれがある。
  • 屋根や外壁が脱落、飛散するおそれがある。
  • 擁壁が老朽化し危険となるおそれがある。 など

(2)そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態(除却がありえる。)

  • アスベストが飛散し暴露する可能性が高い状況である。
  • 浄化槽の放置、破損による汚物の流出、臭気の発生があり、地域住民の日常生活に支障を及ぼしている。
  • 排水の流出による臭気があり、地域住民の日常生活に支障を及ぼしている。
  • ごみの放置、不法投棄により、多数のネズミ、ハエ、蚊等が発生し、地域住民の日常生活に支障を及ぼしている。 など

(3)適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態

  • 屋根、外壁が、汚物や落書き等外見上大きく傷んだり汚れたまま放置されている。
  • 多数の窓ガラスが割れたまま放置されている。
  • 立木が建築物の全面を覆う程度まで繁茂している。 など

(4)その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

  • 立木の枝が近隣の道路にはみ出し、歩行者の通行を妨げている。
  • 動物の糞尿その他の汚物の放置により、臭気が発生し、地域住民の日常生活に支障を及ぼしている。
  • シロアリが大量に発生し、近隣の家屋に飛来し、地域住民の日常生活に悪影響を及ぼすおそれがある。
  • 門扉が施錠されていない、窓ガラスが割れているなど不特定の者が容易に侵入できる状態で放置されている。 など

空家特措法上の「所有者」とは

  • 空き家の登記記録に記載されている所有者
  • 未登記建物の場合は課税台帳に記載されている所有者
  • 登記記録や課税台帳に記録された所有者に相続が発生し、複数の相続人間で遺産分割協議等が未了の場合はその相続人全員(数次相続による相続人を含む)

※「管理者」とは・・・賃借人、使用借人、相続財産清算、破産管財人、成年後見人などのことです。空家特措法では、所有者又は管理者を「所有者等」と定義しています(以下、所有者又は管理者のことを「所有者等」といいます。)。また、この「管理者」には、最後に相続放棄をした人も含まれるとされており、市町村長による助言、指導又は勧告の名宛人にはなるものの、「必要な措置」を講ずる権原がないことから、助言、指導又は勧告を講ずる実質的な意味はないとされています。また、相続放棄という正当理由があるため、「必要な措置」を命ずること(命令)もできないものと考えられます(国土交通省住宅局住宅総合整備課及び総務省地域創造グループ地域振興室平成27年12月25日事務連絡「『空家等対策の推進に関する特別措置法』に関する御質問について」)。

特定空家等に対する措置

  1. 市町村長は、特定空家等の所有者等に対し、当該特定空家等に関し、①除却、②修繕、③立木竹の伐採④その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置(そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態にない特定空家等については、建築物の除却を除く。2.において同じ。)をとるよう助言又は指導をすることができる。
  2. 市町村長は、1.による助言又は指導をした場合において、なお当該特定空家等の状態が改善されないと認めるときは、当該助言又は指導を受けた者に対し、相当の猶予期限を付けて、①除却、②修繕、③立木竹の伐採④その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置をとることを勧告することができる。
  3. 市町村長は、2.による勧告を受けた者が正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかった場合において、特に必要があると認めるときは、その者に対し、相当の猶予期限を付けて、その勧告に係る措置をとることを命ずることができる(命令)。
  4. 市町村長は、3.により必要な措置を命じた場合において、その措置を命ぜられた者がその措置を履行しないとき、履行しても十分でないとき又は履行しても3.の期限までに完了する見込みがないときは、行政代執行法の定めるところに従い、自ら義務者のなすべき行為をし、又は第三者をしてこれをさせることができる(代執行)。

上記2.の勧告を受けた場合は、固定資産税の住宅用地特例の対象から外れ、固定資産税が増加することになります。

上記3.の命令は、標識の設置その他の方法による公示によりなされます。

上記4.の行政代執行法の規定に基づく代執行又は空家特措法の規定に基づく略式代執行により、特定空家等の除却等(取り壊し等)が行われた場合、最終的には所有者等から費用を徴収することになっていますので、何もしなかった所有者等が得をするといったことにはなりません。

代執行までの手続は、助言又は指導から命令までの手順をすべて経る必要があり、各段階の通知は、所有者等の全員(所有者が死亡している場合には相続人全員)に対して行われます。

空家特措法の改正(強化)

「政府広報オンライン」より抜粋

「管理不全空家」に対する措置の新設

改正前の空家法は、対象となる空き家が特定空家の状態になる前の段階では、市区町村は指導や勧告といった措置をとることができませんでした。また、特定空家になってからの対応だけでは、増え続ける空き家への対応にも限界があります。

そこで令和5年(2023年)、空家法が改正され、周囲に著しい悪影響を及ぼす特定空家になる前の段階から空き家の適切な管理が図られるよう、管理不全空家」に対する措置が新設されました。

これは、放置すれば特定空家になるおそれのある空き家を、市区町村が管理不全空家に認定し、管理指針に即した管理を行うことを空き家の所有者等へ指導できるようにするものです。指導してもなお状態が改善しない場合には、市区町村は勧告を行うことができ、勧告を受けた管理不全空家は、特定空家と同様に、敷地にかかる固定資産税などの軽減措置の適用を受けることができなくなります

空家等管理活用支援法人制度の新設

これまで、空き家の所有者が空き家の活用や管理の方法などに係る情報を入手したり、相談したりできる環境が十分でないことが課題となっていました。そこで市区町村が、空き家の活用や管理に積極的に取り組むNPO法人や社団法人などを「空家等管理活用支援法人」に指定できるようになりました。指定された法人は、所有者からの空き家の活用や管理方法についての相談への対応や、所有者と活用希望者のマッチングなどを行い、空き家の活用を促進します。

空家等活用促進区域制度の新設

市区町村が重点的に空き家の活用を図るエリアを「空家等活用促進区域」に設定できる制度が新設されました。この区域内では、市区町村は空き家の所有者に対して、市区町村が定める指針に沿った空き家の活用を要請できるようになりました。また、建築基準法の規制などがネックになっているケースがみられることから、必要に応じて用途規制や前面道路の幅員規制の合理化ができるようになりました。

行政による強制撤去等の円滑化

緊急的に除却(解体)などが必要な特定空家に対して、命令等の手続きを経ずに行政による強制撤去等(代執行)をすることが可能となりました。台風など自然災害による危険が迫っているときなどに、迅速な安全確保ができるようになります。

空き家の所有者等の管理責任

空家特措法

空家特措法では、「空家等の所有者又は管理者(以下「所有者等」という。)は、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、空家等の適切な管理に努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する空家等に関する施策に協力するよう努めなければならない。」とされています(同法第5条、空家等の所有者等の責務)。

建築基準法

建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければなりません(同法第8条第1項、維持保全)。

民法

土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負うことになります。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければなりません(無過失責任)。竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合についても同様です。その場合において、損害の原因について他にその責任を負う人がいるときは、占有者又は所有者は、その人に対して求償権を行使することができます(同法第717条、土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)。

相続放棄をした後

相続放棄をした人は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければなりません(民法第940条第1項、相続の放棄をした者による管理)。これは、他の相続人に対する責任であって、第三者に対するものではないと考えられています(国土交通省住宅局住宅総合整備課及び総務省地域創造グループ地域振興室平成27年12月25日事務連絡「『空家等対策の推進に関する特別措置法』に関する御質問について」)。

(権限の定めのない代理人の権限)
第百三条 権限の定めのない代理人は、次に掲げる行為のみをする権限を有する。
一 保存行為
二 代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為

「自己の財産におけるのと同一の注意をもって」とは

財産を管理する場合は、通常は管理者の注意能力の程度に関係なく、その人の属している職業や社会的地位に応じて一般に期待される注意義務(善良な管理者の注意義務、善管注意義務)が必要となりますが、特別な場合には、その注意義務の程度が軽減され、管理者の具体的な注意能力に応じた注意をすれば足りるとされてます。それが「自己の財産におけるのと同一の注意」です。

相続放棄
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