遺言執行者を補助する業務

遺言執行とは

遺言執行とは、遺言事項の中には、遺言者の死亡によって当然に効力が生じるものばかりではなく、遺言の内容を実現するための一定の行為を必要とするものがあり、その一定の行為のことをいいます。

遺言執行者制度

遺言の内容の実現は、本来は相続人が行うべきものですが、その内容によっては相続人間で利害が対立するなど公正な執行を期待することができないことがあるため、遺言執行者に委ねることによって、遺言の適正な執行を実現しようとするのが遺言執行者の制度です。

遺言執行者がその権限において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人対して直接効果が生じます(民法第1015条)。

遺言執行者の権限

遺言執行者の権限は、遺言の内容を実現するための相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為(民法第1012条第1項)ですが、具体的な内容については遺言書に記載された遺言事項によって決定されることになります。

遺言執行者がいる場合の遺贈の履行は、遺言執行者のみが行うことができます(民法第1012条第2項)。

遺言執行者がいる場合、相続人は、相続財産の処分その他の遺言執行の妨げになる行為をすることができず(民法第1013条第1項)、違反して行った相続人による行為は無効となります(民法第1013条第2項)。

遺言執行者の指定・選任・欠格事由

遺言執行者は、遺言によって指定され、若しくは遺言で委託された人から指定され(民法第1006条第1項・第2項)、又は利害関係人からの申立てよって家庭裁判所に選任される必要があります(第1010条)。

遺言執行者は、法律の専門家を指定する必要はなく、相続人や受遺者でも構いませんが、未成年者と破産者は遺言執行者になることができません(民法第1009条)。

遺言執行者の任務

  • 任務を開始したときは、遅滞なく遺言の内容を相続人に通知しなければなりません(民法第1007条第2項)。
  • 遅滞なく相続財産目録を作成して、相続人に交付しなければなりません(民法第1011条第1項)。
  • 遺贈があれば、遺贈の履行をします(民法第1012条第2項)。不動産の遺贈があった場合の所有権移転登記は、登記権利者である受遺者と登記義務者である相続人全員が共同で申請する必要があり、複数の相続人のうち1人の協力が得られないだけで登記手続ができなくなることがあります。遺言執行者の指定があれば、相続人の関与なしに登記を申請することとなり、手続が滞ることがなくなります。
  • 遺言執行者は、遺産分割方法の指定として遺産に属する特定の財産を共同相続人の1人又は数人に承継される遺言(以下「特定財産承継遺言」といいます。)があった場合には、対抗要件具備行為(不動産登記申請行為、預貯金の解約(預貯金債権の全部が特定財産承継遺言の場合に限る。))をすることができます(民法第1014条第2項・第3項)。
  • 遺言で認知(民法第781条第2項)、廃除(民法第893条)、廃除の取消し(民法第894条第2項、第893条)があれば、遺言執行者が行います。遺言執行者が指定されていない場合は、利害関係人から家庭裁判所に遺言執行者の選任の申立てをする必要があります。
  • 遺言執行が終了した後は、遅滞なくその経過を及び結果を相続人に報告しなければなりません(民法第1012条第3項、第645条)。

遺言執行を要する遺言事項

  • 認知(遺言執行者しかすることができません。)
  • 相続人の廃除・廃除の取消し(遺言執行者しかすることができません。)
  • 遺贈の履行(遺言執行者がいる場合は、遺言執行者しかすることができません。)
  • 特定財産承継遺言の対抗要件具備(名義変更、動産の引渡しなど)行為

遺言執行のおおまかな流れ

  1. 遺言の有効性確認を行い、遺言の内容を相続人に通知します。
  2. 関係者から事情聴取し、諸調査を行った上で相続財産目録を作成して、相続人に交付します。
  3. 遺言の対象財産に不特定物がある場合の特定、遺産の中に対象財産が存在しない場合の調達、遺言による指示がある場合の債務の弁済などを行います。
  4. 認知、廃除などの身分行為、遺贈、対抗要件具備行為等の財産の処分行為を行います。
  5. 遺言執行完了後は、相続人に対して、遺言執行の経過および遺言執行が終了した旨の報告をします。

遺言執行者の復任権

遺言執行者は、自己の責任で第三者にその任務を行わせることができます(民法第1016条)。

遺言で相続人や受遺者が遺言執行者に指定された場合、遺言執行には専門的な知識や事務作業が必要となるため、その業務の遂行は非常に困難であると考えられます。そのようなときは、司法書士等の法律事務の専門家に復委任することも法律上可能となっています。

当事務所の遺言執行者の補助業務の内容

  • 遺言執行に関するアドバイス
  • 専用の預り金口座の開設
  • 相続人調査・確定(相続人全員に対する書面の通知のため)
  • 遺言者・各相続人の戸籍等の取得
  • 民法第1007条第2項に規定する相続人に対する遺言内容の通知に係る書面の作成
  • 受遺者への連絡等
  • 名寄帳の取得
  • 相続財産調査・確定
  • 民法第1011条第1項に規定する相続財産の目録の作成
  • 民法第1012条第3項、第645条に規定する相続人に対する遺言執行の経過及び結果の報告に係る書面の作成
  • 相続登記、遺贈の登記、配偶者居住権設定の登記
  • 金融機関、証券会社等に対する残高証明書、取引明細書の請求
  • 口座解約・払戻し、相続移管、保険金請求等の手続
  • 払戻金等の保管金の管理
  • 払戻金等の保管金からの各相続人・受遺者への送金
  • 上記のための日当

以下は、別途ご依頼があった場合です。

  • 自筆証書遺言の検認
  • 公証役場における遺言書検索
  • 日本信用情報機構、CIC、全国銀行協会への信用情報の開示請求(債務の調査)
  • 証券保管振替機構への登録済加入者情報の開示請求
  • 生命保険協会への生命保険契約の照会
  • 住所地近隣の金融機関・証券会社への現存照会、取引照会
  • 遺言による推定相続人廃除の審判申立書の作成

※  本業務には、遺言(清算型の遺産分割方法の指定、清算型遺贈)による不動産等の売却・換金の代行は含まれておりません。

料金

料金は こちら です。

当事務所の司法書士は、一般社団法人日本財産管理協会の認定会員です。

当事務所は、この遺言執行者の補助業務のご依頼をお待ちしております。お気軽にご相談ください。

お問い合わせ・ご依頼はこちらから(メールフォームもあります)