遺言と異なる内容の遺産分割をして相続登記できますか?

Q:
夫が突然亡くなりました。相続人は私と長男、次男です。公正証書遺言があり、それには「不動産の全部を長男に相続させる。」と書いてありました。しかし、長男は遠方で事業をしており故郷に戻ることはなく、次男は私とともに夫名義の家に住み、田畑などの農業用財産も次男が管理しています。不動産については長男は要らないと言っているので、3人で遺産分割を行ってその遺産分割協議書を添付して所有権移転登記(相続登記)を申請することはできるのでしょうか?

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A:
遺言書の「不動産の全部を長男に相続させる。」という記載は、特定財産承継遺言(相続させる旨の遺言)といって、遺言による遺産分割方法の指定であり、相続の発生により即時に権利移転が生じている(当該特定の財産については遺産分割は終わっている)こととなります。したがいまして、この場合は、その遺言書と遺産分割協議書の両方を添付して次男に直接相続登記することはできません。

また、遺言書を登記所に提出せずに、遺産分割協議書のみで遺言の内容と異なる相続登記をすることは、法務局の登記記録に係る公正証書原本不実記載等罪(刑法第157条第1項)を構成する可能性があります。

解決策:
本件は、遺言どおりに長男名義にする相続登記を行い、兄弟間で不動産の贈与又売買契約を締結し、贈与又は売買を原因とする所有権移転登記を申請する必要があります。なお、贈与税等が発生することがあります。

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