数次相続の登記(中間の相続が単独)

質問

父が亡くなりました。遺言書はありませんでした。相続人は母と私と私の弟です。私が父の遺産である不動産を取得する旨の遺産分割協議が終了し相続登記の申請をしようと思ったのですが、今まで父の名義だと思っていた不動産の登記名義人は、父の亡父、つまり私の祖父であることが判明しました。いったん祖父から父に相続登記してからでないと私の名義にすることはできないのしょうか?

回答

お祖父さんの名義の不動産を、直接(1回の遺産分割協議及び相続登記で)、あなた名義にすることは可能です。

解説

例えば、Aに相続が発生してその遺産分割が未了のうちに相続人であるB(Aの子)が死亡した場合、D(Bの子)は、C(Aの子)との間で遺産分割協議を行い、Dが不動産を取得した旨の内容の遺産分割協議書を添付してAから自己への相続登記を申請することができます。

1回の遺産分割協議での決定が可能なことについて

根拠先例(昭和29年5月22年民甲第1037号回答)

被相続人甲が昭和25年死亡し甲の配偶者乙と甲の兄弟丙、丁、戊が相続した後乙が昭和27年死亡し乙の兄弟A、Bが相続した不動産について、A、B、丙、丁、戊が丙を単独取得者とする遺産分割の協議をなし、丙からその協議書を添付し相続登記の申請があった場合、甲の死亡により開始した相続によりその配偶者乙が取得した相続人としての権利義務は、乙の死亡により開始した相続によりその兄弟A、Bにおいて承継したものと解すべきであるから、遺産分割の協議は有効であり、その登記は、受理される。

1件の登記申請での手続が可能なことについて

根拠先例(明治32年3月7日民刑回答)

数次に家督相続が開始した場合において、各相続登記が未了であるときは、申請書に、登記原因及びその日付として、各相続に関するものを連記し、その各相続を証する書面を添付すれば、最終の家督相続人名義に直接1件の申請書で相続登記を申請することができる。

根拠先例(昭和30年12月16日民甲第2670号通達)

単独相続が中間において数次行われた場合には、相続を原因とする所有権移転登記を1件の申請で行うことができ、この単独相続には遺産分割により単独相続になった場合も含まれる。

このケースにおいては、最終的な遺産分割協議の結果のみ(A名義の不動産をDが単独で相続した旨のみ)が記載された遺産分割協議書を添付して相続登記を申請することが可能です(平成29年3月30日民二第237号通知)。

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