相続した不動産に買戻特約登記があった場合

質問

亡くなった父が住んでいた家屋と敷地を相続しました。その不動産には住宅供給公社の買戻特約が登記されており、買戻期間は父が亡くなる前に経過していました。どうしたらよいですか?

回答

その住宅供給公社に連絡して、抹消の手続への協力をしてもらってください。

手続方法は、買戻権者(県や市の住宅供給公社・土地開発公社など)によって異なり、以下のいずれかになるものと思われます。いずれにしても買戻権者への申請、届出等の手続が必要となります。

  • 買戻権者が嘱託登記により抹消する
  • 買戻権者の受託者(司法書士)が嘱託登記により抹消する
  • 買戻権者から必要書類の交付を受けて、当該不動産の所有者が登記の権利者兼義務者(買戻権者)代理人として抹消する(又は司法書士に依頼する) など

福岡県住宅供給公社の場合

福岡市住宅供給公社の場合

荒尾市土地開発公社の場合

UR(独立行政法人都市再生機構)西日本支社の場合(「買戻特約の抹消を希望される方はこちら」をご参照ください。)

解説

買戻特約登記は、主に公的機関がニュータウンや工業団地の宅地等分譲の際に、その譲渡の条件として住宅や工場の建設を担保・促進するため(転売防止の意味もあります。)に付され、住宅や工場の建設が完了した際には抹消することとなる登記です。この買戻特約登記は、譲渡契約において期間(最長10年)が定められ、この期間が経過すると効力がなくなるものです。

売買契約の日から10年を経過している場合

令和3年4月28日に公布された改正不動産登記法(当該改正部分についての施行期日は令和5年4月1日)により、買戻特約がされた売買契約の日から10年を経過したときは、登記権利者(売買契約の買主)単独での当該登記の抹消が可能となりました。↓こちらをご参照ください。

民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(令和5年4月1日施行関係)(通達)
以下は、令和5年3月30日付け法務省民二第538号民事局長通達「民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(令和5年4月1日施行関係)」の主要部分の抜粋・要約です。 相続人に対する遺贈による所有権の移転の登記手続の...

お問い合わせ・ご依頼はこちらから(メールフォームもあります)