農地法第3条の3第1項の規定による相続等による権利取得の届出の根拠規定(備忘録)

(農地法の手続は司法書士業務ではありません。これは規定をほぼそのまま掲載した備忘録です。お問い合わせ・ご相談がある場合は、市町村の農業委員会事務局・行政書士の先生までお願いします。)

農地法(抜粋)

(農地又は採草放牧地についての権利取得の届出)
第三条の三 農地又は採草放牧地について第三条第一項本文に掲げる権利【所有権】を取得した者は、同項の許可を受けてこれらの権利を取得した場合、同項各号(第十二号及び第十六号を除く。)のいずれかに該当する場合その他農林水産省令で定める場合を除き、遅滞なく、農林水産省令で定めるところにより、その農地又は採草放牧地の存する市町村の農業委員会にその旨を届け出なければならない。
第六十九条 第三条の三の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、十万円以下の過料に処する。

農地法施行規則(抜粋)

(農地又は採草放牧地についての権利取得の届出を要しない場合)
第十八条 法第三条の三の農林水産省令で定める場合は、次に掲げる場合とする。
一 法第五条第一項本文に規定する場合
二 特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関する法律(平成元年法律第五十八号)第三条第三項(都市農地の貸借の円滑化に関する法律(平成三十年法律第六十八号)第十一条において準用する場合を含む。次号において同じ。)の承認を受けて法第三条第一項本文に掲げる権利を取得した場合
三 市民農園整備促進法(平成二年法律第四十四号)第十一条第一項の規定により特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関する法律第三条第三項の承認を受けたものとみなされて法第三条第一項本文に掲げる権利を取得した場合
四 都市農地の貸借の円滑化に関する法律第四条第一項の認定を受けて法第三条第一項本文に掲げる権利を取得した場合
五 第十五条各号(第五号を除く。)のいずれかに該当する場合

(農地又は採草放牧地についての権利取得の届出の方法)
第十九条 法第三条の三の届出は、次に掲げる事項を記載した書面を提出してしなければならない。
一 権利を取得した者の氏名及び住所(法人にあつては、その名称及び主たる事務所の所在地並びに代表者の氏名)
二 権利を取得した農地又は採草放牧地の所在、地番及び面積
三 権利を取得した事由及び権利を取得した日
四 取得した権利の種類及び内容
五 所有権を取得した場合には、所有権を取得した者の国籍等(法人にあつては、その設立に当たつて準拠した法令を制定した国)

農地法関係事務に係る処理基準(抜粋)

第5 法第3条の3関係
農地等についての権利取得の届出は、農業委員会が許可等によっては把握できない農地等についての権利の移動があった場合にあっても、農業委員会がこれを知り、その機会をとらえて、農地等の適正かつ効率的な利用のために必要な措置を講ずることができるようにするものである。
この届出の取扱いについては、法令の定めによるほか、次によるものとする。
(1) 法第3条の3第1項に基づき届け出なければならないこととされている農地等についての権利取得は、具体的には、相続(遺産分割、包括遺贈及び相続人に対する特定遺贈を含む。)、法人の合併・分割、時効等による権利取得をいう
(2) 「遅滞なく」とは、農地等についての権利を取得したことを知った時点からおおむね10か月以内の期間とする。
(3) なお、この届出は、法第3条第1項本文に掲げる権利取得の効力を発生させるものではないことに留意するものとする。
例えば、届出をしたことにより時効による権利の取得が認められるというものではない。

農地法関係事務処理要領(抜粋)

第3 農地等の権利取得の届出の関係
3 事務処理上の留意事項(抜粋)
複数の相続人が存在する場合は、相続が開始して共有物として農地等の権利を取得したとき及び遺産の分割により農地等の権利を取得したときが届出の対象となり、それぞれ権利を取得した後遅滞なく届出をしなければならないことに留意すること。なお、相続が開始して共有物として権利を取得した旨の届出をする時点で遺産の分割により権利を取得している場合は、相続が開始して共有物として権利を取得した旨の届出は省略することができる。
また、届出は連名ですることも可能であることに留意すること。