相続登記(相続による不動産の名義変更・所有権移転登記)においては、売買や贈与の所有権移転登記の登記義務者と異なり、被相続人の亡くなった時の住所が登記記録上の住所から住所移転によって変わっていたとしても、その前提として所有権移転登記名義人住所変更登記を申請する必要はありません。ですので、原則としては、相続登記の前提としての住所変更登記はないとも言えます。
ただし、以下の場合は、不動産(持分)を取得する相続人について住所変更登記が必要になります。
権利部(甲区) (所有権に関する事項) | |||
順位番号 | 登記の目的 | 受付年月日・受付番号 | 権利者その他の事項 |
1 | 所有権移転 | (省略) | 原因 平成●年●月●日売買 共有者 福岡県柳川市A町B1番地 持分2分の1 甲野一郎 福岡県柳川市A町B1番地 2分の1 乙野法子 |
このような登記記録があり、甲野一郎が亡くなり、甲野一郎の持分を乙野法子が相続により取得することになったとします。乙野法子が「福岡県柳川市C町D2番地」に住所移転していたにもかかわらず、住所変更登記をしないで相続登記を申請した場合、
権利部 (甲区) (所有権に関する事項) | |||
順位番号 | 登記の目的 | 受付年月日・受付番号 | 権利者その他の事項 |
1 | 所有権移転 | (省略) | 原因 平成●年●月●日売買 共有者 福岡県柳川市A町B1番地 持分2分の1 甲野一郎 福岡県柳川市A町B1番地 2分の1 乙野法子 |
2 | 甲野一郎持分全部移転 | (省略) | 原因 令和●年●月●日相続 共有者 福岡県大牟田市C町D2番地 持分2分の1 乙野法子 |
というように、共有のまま住所が違う同姓同名の別人のように登記されてしまいます。このようなことにならないために、元々の持分についても現在の住所に変更する必要があります。実際には、前件で「1番所有権登記名義人住所変更」、後件で「甲野一郎持分全部移転」の連件で申請します。その結果の登記記録は以下のとおりになります。
権利部 (甲区) (所有権に関する事項) | |||
順位番号 | 登記の目的 | 受付年月日・受付番号 | 権利者その他の事項 |
1
付記1号 |
所有権移転 | (省略) | 原因 平成●年●月●日売買 共有者 福岡県柳川市A町B1番地 持分2分の1 甲野一郎 福岡県柳川市A町B1番地 ※下線は抹消を表しています。 2分の1 乙野法子 |
1番登記名義人住所変更 | (省略) | 原因 令和●年●月●日住所移転 共有者乙野法子の住所 福岡県大牟田市C町D2番地 |
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2 | 甲野一郎持分全部移転 | (省略) | 原因 令和●年●月●日相続 所有者 福岡県大牟田市C町D2番地 持分2分の1 乙野法子 |
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