失踪宣告とは
不在者(従来の住所又は居所を去り、容易に戻る見込みのない者)について、その生死が7年間明らかでないとき(普通失踪、民法第30条第1項)、又は戦争、船舶の沈没、震災などの死亡の原因となる危難に遭遇し、その危難が去った後、その生死が1年間明らかでないとき(危難失踪、民法第30条第2項)に、家庭裁判所に申立てて、法律上死亡したものとみなす効果を生じさせる制度のことです。
普通失踪は7年の期間が満了した時に、危難失踪はその危難が去った時に死亡したものとみなされます(民法第31条)。
申立て
申立人
利害関係人(不在者の配偶者、相続人に該当する人、財産管理人、受遺者など失踪宣告を求めることについての法律上の利害関係を有する人です。)
申立先
不在者の従来の住所地又は居所地の家庭裁判所
申立てに必要な費用
- 収入印紙800円分
- 連絡用の郵便切手
- 官報公告料4,816円(失踪に関する届出の催告3,053円及び失踪宣告1,763円の合計額)
戸籍法による届出義務及び戸籍記載例
失踪宣告がなされた場合は、申立人に戸籍法による届出義務が発生します。
失踪宣告の審判が確定してから10日以内に、不在者の本籍地又は申立人の住所地の市区町村役場に失踪の届出をする必要があります。届出には、審判書謄本と確定証明書が必要です。
(以上、戸籍法第94条・第63条第1項)
戸籍の記載例は、以下のとおりです。
相続について
失踪宣告された不在者は死亡したとみなされるので、その不在者について相続が発生します。
また、選択的に不在者財産管理人とともに相続人が不在者の場合に利用されることがある制度ですが、その相続人が失踪の宣告をされた場合でも、あくまでも死亡とみなされるものなので、その人(相続権)を除外して相続手続ができるわけではなく、不在者の相続人が相続人としての立場を承継することになります(数次相続)。