本文
相続人は、遺産分割の前にその相続分を第三者に譲渡することができます(民法第905条第1項参考)。
民法(抜粋)
第九百五条 共同相続人の一人が遺産の分割前にその相続分を第三者に譲り渡したときは、他の共同相続人は、その価額及び費用を償還して、その相続分を譲り受けることができる。
2 (省略)
そして、この第三者は、相続人ではないにもかかわらず、相続分を譲り受けた者として遺産分割協議に参加することができ、被相続人の財産に不動産が含まれている場合は、当該不動産を遺産分割により取得することができます。
この場合の登記手続は、1件の申請ではすることはできず、次のようになります。
【被相続人Aの相続人が子のB、C及びDの場合に、Dがその相続分を相続人ではないEに売り渡し、その後、B、C及びEの間の遺産分割協議において、不動産をEが単独で取得する旨の遺産分割が成立したとします。】
- 被相続人Aから各1/3の持分でB、C及びDへの法定相続の相続登記
- DからEへの「相続分の売買(※)」を原因とする持分1/3のD持分全部移転登記
- B及びCからEへの「遺産分割」を原因とする持分2/3のEを除く共有者全員持分全部移転登記
※ 無償で譲渡した場合の登記原因は、「相続分の贈与」です。
(1.及び2.についての根拠実例・・・登記研究728号243頁)
なお、「相続分の売買」を原因とする持分移転の登記の登録免許税は、租税特別措置法第72条(土地の売買による所有権の移転登記等の税率の軽減、1000分の15)の摘要がなく、1000分の20です。
「相続分の売買」を登記原因とする土地の所有権の移転の登記に係る登録免許税の租税特別措置法第72条の適用の可否について(照会)|国税庁
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