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遺言書があっても「遺言者の死亡の記載のある戸籍」と「不動産の取得相続人の戸籍」 だけでは足りない相続登記

親から子への遺言に基づく相続登記で必要となる戸籍は、

  1. 遺言者の死亡の記載のある戸籍謄本
  2. 「相続させる」相続人(不動産を取得する相続人)の戸籍抄本(父又は母の氏名が記載されています。)

の2通で足ります。配偶者に「相続させる」遺言であれば、上記1.の1通で足りる場合もあります。

遺言のメリットは複数ありますが、遺産分割協議が必要ないこととともに相続手続に必要な書類の数が少なくて済み、相続人の負担が減ることが挙げられます。

しかし、上記1.と2.だけでは足りないケースがあります。

例えば、子がおらず、直系尊属(父母や祖父母など)の全員が既に死亡していて、兄弟姉妹も先に死亡していた場合のその代襲者である甥・姪に「相続させる」遺言をしているケースです。

第一順位である子やその代襲者、第二順位である直系尊属がいない場合は、第三順位である兄弟姉妹が相続人となります(民法第889条第1項第2号)。そして、その兄弟姉妹も被相続人よりも先に死亡している場合は、その兄弟姉妹の子がその代襲者となります(民法第889条第2項、同第887条第2項)。したがって、遺言書作成時に兄弟姉妹が死亡していれば、甥や姪に「相続させる」遺言を作成することが可能となります。

このケースでの相続登記の申請に必要な戸籍は、以下のとおりです。

  1. 遺言者の出生から死亡までの戸籍謄本の全部(遺言者に子がいないことと遺言者が死亡したことを証明します。)
  2. 遺言者の父母の死亡の記載のある戸籍謄本・・・各1通(遺言者の父母が死亡していることを証明します。)
  3. 遺言者の父方・母方それぞれの祖父母の死亡の記載のある戸籍謄本・・・各1通(遺言者の祖父母全員が死亡していることを証明します。)
  4. 年齢的に生存している可能性がある場合(参考:本記事執筆現在の国内最高齢は116歳)は、上記3.と同様に曾祖父の分も必要になります。
  5. 遺言者の兄弟姉妹(「相続させる」甥又は姪の親)の死亡の記載のある戸籍謄本・・・1通(遺言者と兄弟姉妹であることと当該兄弟姉妹が死亡して代襲が生じていることを証明します。)
  6. 当該甥又は姪の戸籍抄本・・・1通(遺言者の兄弟姉妹の子であることと遺言の効力発生時に生存していたことを証明します。)

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