質問
父が死亡してその後に母が死亡した場合に、母とその前夫との間の子は父の遺産を相続できるのでしょうか? なお、母が健在の間に父の遺産分割協議は行っていませんでした。
回答
お父様をお母様の前夫との間の子が相続することはありません。
ただし、お母様は、お父様が亡くなった時にご健在だったので、お父様を相続(法定相続分2分の1)した後に亡くなったという時系列になります。そして、お母様が亡くなったことによって、あなたやお母様の前夫との間の子が、お母様の固有の遺産とともにお父様に関する相続分も相続します。結果として、お母様の相続を経由してお父様の遺産も相続するということになります。
お父様の遺産について、あなたとお母様の前夫との間の子(あなたと半分兄弟姉妹)は同じ立場であるということが言えます。
解説(相続登記)
お父様の遺産に不動産が含まれる場合は、その不動産について相続登記を申請することになり、一度の遺産分割協議で、あなたのお母様の前夫の子の名義にすることも可能(昭和30年12月16日民甲第2670号通達、平成29年3月30日民二第237号通知)ですが、あなたの名義にする場合とは、登記の申請情報の内容に違いがあります。
お父様を甲(平成31年4月1日死亡)、お母様(令和2年5月1日死亡)を乙、あなたをA、お母様の前夫との間の子をBとします。
A名義にする場合は(申請情報一部抜粋)、
目的 所有権移転
原因 平成31年4月1日相続
相続人(被相続人 甲)
■■■住所 A
ですが、
B名義にする場合は(申請情報一部抜粋)、
目的 所有権移転
原因 平成31年4月1日甲相続
■■■令和4年5月1日相続
相続人(被相続人 乙)
■■■住所 B
となります。
A名義にするときのように原因日付が1つでないのは、Bは甲の本来の相続人ではないにもかかわらず、甲からBに直接相続した形で登記記録に記録されてしまうことになり、そのことは、実態法上の権利関係を登記記録に反映させるという不動産登記制度の公示機能の観点から望ましくないからです。
所有権移転等の登記の手続は、単に名義を上書き変更するという制度ではないということです。
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