注意: 確定日付の制度は、書面の有効性や記載内容の真実性を証明するものではありません。また、投稿記事に関するご質問・お問い合わせは、電話・メールともに一切受け付けておりません。税制に関することは税務署又は税理士の先生にご相談ください。
贈与税の申告
贈与税は、1人の人が1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の合計額(1年間に2人以上の人から贈与を受けた場合又は同じ人から2回以上にわたり贈与を受けた場合には、それらの贈与を受けた財産の価額の合計額)から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対してかかります。
相続時精算課税の制度を選択した場合は、選択した贈与者ごとにその年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額から2,500万円の特別控除額(前年以前にこの特別控除の適用を受けた金額がある場合には、2,500万円からその金額を控除した残額がその年の特別控除限度額となります。)を控除した残額に対して贈与税がかかります。
贈与税がかかる場合及び相続時精算課税を適用する場合には、贈与を受けた人が贈与により財産を取得した年の翌年2月1日から3月15日の間に申告と納税をする必要があります。
なお、相続時精算課税の制度を選択しようとする受贈者は、その選択に係る最初の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間(贈与税の申告期間)に「相続時精算課税選択届出書」及び一定の書類を贈与税の申告書に添付して所轄税務署へ提出しなければなりません。
契約日の重要性
この贈与税の申告や相続時精算課税選択届出の場合のように、いつ贈与(契約)したか(上記下線部参照。)が重要となり、贈与した日(契約日)を何らかの方法で明確にしておかなければならない場面があります。
贈与契約は口頭でも成立しますが、契約書として書面に残すとともに、契約日を第三者(税務署等)に証明することができるようにしておいた方が安心です。
当事者間では、例えば「遡って前年に契約した(作成した)ことにしておこう。」ということもできてしまうので、そのように疑われないようにすることが必要になるからです。
日付を明確にするには
公証役場において契約書を公正証書で作成するという方法もありますが、その日に当該文書が存在していたということのみを証明することができる制度(注意:公正証書のように文書の成立について真正であるとの推定(形式的証明力)が働くものではありません。)があります。それが「確定日付」です。
公証役場で付与を受けることがよく知られていますが、法務局でも付与を受けることができます。
法務局は、公証役場よりも数が多く、比較的にご自宅や職場のお近くにあると思います。
確定日付の手続(法務局の場合)
贈与契約等の私書証書と確定日付付与請求書を法務局に持って行き、収入印紙を証書1通につき700円分購入の上請求書に貼付して、不動産登記申請の受付に提出します。早ければ10分ほどで提出した証書に確定日付を付与してもらうことができ、手続が終了します。
なお、法務局における手続代理は司法書士の独占業務(表示を登記を除く。)です。そのことを根拠にこの記事を作成・投稿しています。
確定日付の付与方法
私書証書には、日付のある印章が押捺され、その印章で法務局の帳簿と証書とに割印がなされます。また、証書が数紙からなる場合は、その印章で毎紙の綴目又は継目に契印がなされます。
(以下の写真はコピーです。原本には赤いスタンプで押されています。)
不動産の贈与による財産取得の時期(参考)
国税庁HP 法令解釈通達 相続税・贈与税関係より
(下線は、当事務所による。)
「相続税法基本通達」
相続税法(令和6年6月21日付改正分まで更新)
一部改正通達(令和6年6月21日付通達まで掲載)
財産評価(令和6年5月22日付改正分まで更新)
一部改正通達(令和6年5月22日付改正分まで更新)
第1条の3《相続税の納税義務者》及び第1条の4《贈与税の納税義務者》共通関係 (以下抜粋)
財産取得の時期の原則
1の3・1の4共-8 相続若しくは遺贈又は贈与による財産取得の時期は、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次によるものとする。(昭38直審(資)4、昭57直資2-177、平15課資2-1、平17課資2-4改正)
(1) 相続又は遺贈の場合 相続の開始の時(失踪の宣告を相続開始原因とする相続については、民法第31条((失踪の宣告の効力))に規定する期間満了の時又は危難の去りたる時)
(2) 贈与の場合 書面によるものについてはその契約の効力の発生した時、書面によらないものについてはその履行の時
(停止条件付の遺贈又は贈与による財産取得の時期)
1の3・1の4共-9 次に掲げる停止条件付の遺贈又は贈与による財産取得の時期は、1の3・1の4共-8にかかわらず、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次によるものとする。(昭57直資2-177改正、平15課資2-1改正)
(1) 停止条件付の遺贈でその条件が遺贈をした者の死亡後に成就するものである場合 その条件が成就した時
(2) 停止条件付の贈与である場合 その条件が成就した時
(農地等の贈与による財産取得の時期)
1の3・1の4共-10 農地法(昭和27年法律第229号)第3条第1項((農地又は採草放牧地の権利移動の制限))若しくは第5条第1項((農地又は採草放牧地の転用のための権利移動の制限))本文の規定による許可を受けなければならない農地若しくは採草放牧地(以下1の3・1の4共-10においてこれらを「農地等」という。)の贈与又は同項第6号の規定による届出をしてする農地等の贈与に係る取得の時期は、当該許可があった日又は当該届出の効力が生じた日後に贈与があったと認められる場合を除き、1の3・1の4共-8及び1の3・1の4共-9にかかわらず、当該許可があった日又は当該届出の効力が生じた日によるものとする。(昭46直審(資)6、昭57直資2-177改正、平15課資2-1改正、平17課資2-4、平22課資2-12、課審6-15、課評2-22、令元課資2-10、令5課資2-12改正)
(財産取得の時期の特例)
1の3・1の4共-11 所有権等の移転の登記又は登録の目的となる財産について1の3・1の4共-8の(2)の取扱いにより贈与の時期を判定する場合において、その贈与の時期が明確でないときは、特に反証のない限りその登記又は登録があった時に贈与があったものとして取り扱うものとする。ただし、鉱業権の贈与については、鉱業原簿に登録した日に贈与があったものとして取り扱うものとする。(昭57直資2-177改正、平15課資2-1改正)